トロトロちーづのパソコンブログ

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【自作PC】PCゲーマーを悩ませるコインマイニングのお話【グラボ】

2021年現在、仮想通貨の高騰に合わせてグラフィックカードの品薄が続いています。

自作PCユーザーとしては嘆かわしい現状ですが、一体ナゼ仮想通貨の高騰がグラフィックカードの品薄を招くのでしょうか?

それには仮想通貨を運用する上での基本的なプロセスである「マイニング」が関係しています。今回は「仮想通貨なんて興味がない!なんでグラボが買えないのん!?」という方向けのザックリ解説です。

 

 

グラフィックカードの高騰

そもそもグラフィックカードとはパソコンに搭載されるパーツの一つ。

映像出力やコンピューターグラフィックス、動画ファイルの書き出しなどを担当するパーツで、ゲーミングパソコンやクリエイター向けパソコンに搭載されています。

PC自作をする人の目的の一つがこのパーツを搭載すること。

高性能なグラフィックカードほど冷却機構がデカくなるので、画像のカードでは厚さが6センチ近くあります。ノートパソコンにはスリムな廉価グレードやデチューンされたチップしか搭載できないので、わざわざPC自作で大きなデスクトップパソコンを組むわけです。

 

さて、このパーツにはもう一つの使い道があります。それが冒頭でも触れた仮想通貨の「マイニング」です。仮想通貨業界が昨今元気になったことにより、この「マイニング」需要が増大してグラフィックカードが品薄となっているわけです。

仮想通貨の「マイニング」とは?

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割と詳し目の話(読み飛ばしてくれ)

仮想通貨・暗号通貨と言われる技術は、その名の通り「通貨」の代わりになる物。当然ながら取引に使えるモノです。そして、仮想通貨には胴元が存在しません。日本円で言うところの日本国とか日本銀行にあたる、通貨の価値に責任を負う組織が存在しないわけです。

では仮想通貨の価値を担保するのは何なのかというと、「ベラボーに難しい暗号」ということになります。取引の記録を暗号化し、なおかつ世界中の仮想通貨ネットワークに参加した複数のコンピュータに記録することで、取引の正当性を保っているわけです。もしいずれかのコンピュータ上で記録の改ざんが行われても、ネットワーク全体の記録で多数決を行って多い記録が優先されるのでだいたい安全というわけです(ネットワークの過半数をハッキングすれば好きなように出来ますが、そんなハイコストなことをする人はいないし、もしやっても騒ぎになって通貨の価値は暴落するのでローリターン)。

 

そして、正当な取引記録を生成する暗号生成・解読の方法は「総当り」なのです。

グラフィックカードのコアは、CPUのコアより小規模な代わりにチップ上に実装される数が段違い。一般的なCPUが4コアや8コアであるところ、高級グラフィックカードのコア数は数千です。

そして、ネットワークに参加しているコンピュータが暗号の解読に成功した場合、そのコンピュータの持ち主に仮想通貨で報酬が支払われるというわけ。

ザックリ目の話

ここまでをまとめると、グラフィックカードを搭載したパソコンをネットワークに参加させると定期的に仮想通貨がもらえます。炭鉱を総当りで掘り進めて金を掘り当てる様子に似ていることから「仮想通貨採掘」「マイニング」と呼ばれています。

もちろんただネットに繋ぐだけでは意味がなく、マイニング中はグラフィックカードが全力稼働するので、実際の利益は電気代と差し引きになります。

 

マイニングによるカード不足!

さて、何もしなくて仮想通貨が貰えるならメチャ嬉しいですが、実際のところマイニングだけでまとまった収入を得るのはかなりハードルが高いです。

ワタクシ所有のグラフィックカード「GTX 970」を試しに走らせたところ、中古価格1万程度が適正と思われるコイツで日給100円とかそこら。電気代と差し引きで30円くらいが利益になります。

「970」君はもう5年選手なので故障リスクも高く実際のマイニング現場で採用することはあまりないのでしょうが、それでも最新グラボ「RTX 3080」を1日稼働させて1000円稼げるか?といったところのようです(しかもこの仮想通貨バブル下で!)。

そうなると専業マイナーになるためには複数のグラフィックカードを同時に所有する必要があるわけで、このマイニング需要が昨今のグラフィックカードの高騰・品薄を引き起こしているわけです。

最新の「RTX」シリーズはもちろん、5年ものの「GTX 900」シリーズや「GTX 1000」シリーズも中古市場からぐんぐん姿を消しているのが実情。生産も追いついていません。

また、マイニング需要の影響はパソコンだけに留まりません。昨今『PS5』の品薄が続いているのも、このマイニング需要が一因となっています。『PS5』にも同様のグラフィックカードが搭載されていますし、それ以外にも半導体製造は軒並み生産リソースを圧迫されているようです。

最新モデルはゲーマーの救世主になるか

「RTX」シリーズを始めとしたグラフィックカードの最大手であるnvidia社はマイナーによってグラフィックカードが買い占められる現状への対策として、最新モデルのグラフィックカードにおいてマイニング性能が意図的に半減する制限を設けているとのこと。

www.nvidia.com現状はミドルハイモデルの「RTX 3060」のグラフィックカードにおいてのみ、ドライバレベルでの対応とのことですが、将来的に発表されるゲーマー向けカードでは同様の処置がされると思われます。

加えてマイニング向けモデル「CMP」の製造も発表。映像出力をオミットしてエアフローと生産性を向上させているとのこと。もし既存のグラフィックカードよりもマイニング性能が高ければ、マイナーによって抑えられていたカードが中古市場に流れてくることもありえます。

マイニング性能の制限がドライバによって制御されることから「既に消費者に渡ったカードにも制限をかけるのか」「逆に制限を解除する改造手段が存在するのではないか」といった意見も出ています。個人的に前者の可能性は限りなく低いと考えていますが、何はともあれ多少供給は改善されると考えていいでしょう。