「M1 Macとは?」PC初心者向けザックリ解説
ガジェット系YouTuberやブロガーが沸き立った11月11日。
新型iPhoneの発表会に続けて『One more thing』(あともう一つ)と題された生放送。
そこで発表されたのが『M1 Mac』と呼ばれる新型Macです。
さて、パソコンについて詳しい方や20年以上前からApple製品を触っていた方にとっては、今回発売された『M1 Mac』は性能や価格を除いてもちょっと特別なアイテムです。
今回はこの『M1 Mac』がどう特別なのか、そして一般ユーザーにどんな影響があるかをまとめていきます。
そもそも『M1』とは?
みんなが騒いでる『M1』ってのはそもそもなんのことなのか?
答えは「CPU」です。
CPUについては以前も触れていますが、コンピュータの心臓部、実際に計算をしている重要な部品です。有名なサプライヤーは「Intel」と「AMD」の2社。
torotoro-cheese.hateblo.jpAppleから出ているパソコンも「Intel」製CPUを搭載していました。しかし今回登場した『M1』チップはAppleが自社設計したものなんです。
部品を自前で用意できると良いことがたくさんあります。
そもそもパソコン用CPUの業界は「Intel」の覇権。パソコンメーカーは「Intel」に足元を見られながらCPUを仕入れているのが現状です。それを自分で安定的に用意できるとなればコストカット出来るかもしれません。
実際に今回の『M1』でも、新型チップを搭載し「Intel」モデルから大きく性能を上げたとしながらも値段は据え置きに抑えました。メインのチップだけでなくほぼ新規設計をしたはずなのに、です(まぁインテルに大してふっかけた、という面もあるんだろうけど)。
また、CPUはソフトウェアとハードウェアをつなぐ部品でもあります。もともとAppleはソフトの大枠である「OS」を自分で作っているので、OSとCPUの親和性をより高められるであろう点は他社にはできない強みです。
なお、正確には『M1』チップは「CPU」ではなく「SoC」、「システムオンチップ」に分類されます。話の流れとしては同じものと考えて差し支え無いんですが、「CPU」以外の「メモリ」や「グラフィック」といった、コンピュータに不可欠な部品の機能を、一つのチップにまとめました!というのが「SoC」ですね。
もっと簡単にまとめて!
今まで外注していた部分を自前で用意してコストカット!性能UP!やったぜ!
ってカンジ?
発売初月のみんなの評価は?
さて、『M1』チップの開発がアナウンスされたとき懸念されたのが性能の低下です。
というのも、『M1』チップはiPhoneやiPadに搭載されているチップをベースに開発されています。モバイルデバイスのチップは特にパソコンよりも省電力で動くような設計がされています。
ワタクシが敬愛するガジェット系YouTuberも「力こそぱぅわー!」と言いながら悲観的な予測をしていました。それだけ、省電力≒性能低下というのは常識だったんですね。
また、Appleの発表会で具体的な仕様というのが明かされなかったのもあり、前評判は「わっかんねーなー?」というカンジでした。
そんな『M1』チップでしたが、実際の性能は期待以上に高い、というのが現実でした。
ハイエンドスマホであるiPhoneやiPad proの開発で培ったノウハウ、最適化されたOSである『Big Sur』のリリースが性能に如実に出てきた結果と言えるでしょう。
まぁAppleとしてはIntelへの宣戦布告も兼ねているわけで、半端な出来で製品を出すわけも無かったんですが、それにしたって高性能。
一方、アーキテクチャを一新したことでこれまでのMacで動作していたソフトウェアが動かなくなる懸念がありました。これに対してAppleは既存ソフトウェアを『M1』用に書き換える『Rosetta 2』を提供。『M1』向けに設計されていないソフトでもある程度の動作を可能としています。
もっと簡単にまとめて!
前評判は微妙。でも期待以上に高性能。
既存マシンからの乗り換えもそれほど違和感ナシ。
結局”買い”なのか否か?
初めてMacを買うという人は『M1』マシン、超オススメだと思います。
特に『Macbook Air』がMac初心者にススメやすくなった。
これまでの『Macbook Air』は、一番安いのを選ぶと使い方によってはパワー不足を感じてしまう構成だったので、今回の『Air』が上位モデルと同じチップを搭載しているのは万人にオススメできて嬉しい限り。
最近のAppleはラインナップに「下位モデルも高いけど手は抜いてないゾ!」という気迫を感じます。「安いデバイスは他所が作ってくれるので」というお言葉もありましたし。
単純に高品質で初心者にオススメなパソコンでもありますね。
一方で現在Macを持っている人は買い替えるべきかと言うと「急がなくていい」と言えるかなと。
ここ2年くらいのIntel搭載『Macbook』シリーズを使っている人は待っていいと思います。
まず冷静に判断すれば『M1』がスゴイのは「パソコン用のチップを自前で、10年ぶりくらいに設計したのに全然負けてない!」というところ。もちろん優れたチップではありますが、普通の買い替えスパンを飛ばす程の性能上昇ではないです。
また『Rosetta 2』で対応しているとはいえ、既存ソフトウェアがネイティブで対応していないのも不安材料。今使えているソフトが買い替えで使えなくなる可能性だって十分にあります。
対応OS『Big Sur』の不具合の報告も上がっているのでほとぼりが冷めてから買い替えを検討しても全然遅くないかなと。
個人的には『M1』自体にだって不具合があるかもしれないし、次に来るであろう『M2』なり『M1X』なりが出てくるのを待ちたいかなと思います。